028909 ランダム
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第19部「バック転の人」

19部 バック転の人





室内プール  新野   09時05分
1人で遊んでいた。
プールん中いっぱい、プールの底が見えないくらいビートバンを浮かべた。
・・・スッゴい事になっている。
「・・・・あ、そうだ!!」
新野はビートバンを全て引き上げた。
もう既に服はビショビショである。
バッグからガソリンの入った一斗缶を取り出し、フタを開けプールへと流す。
「こはぁーーー!!すげェ!!し・・・自然破壊王だぁぁ!!」
プールの水は見る見る内に色が変わっていく。
「ふっふっふっふっ・・・」
新野はポケットからジッポを出す。
そして火を点け、水中に投げ込む。
【ボッ・・・・・ゴォーーーーーーーゥウッ!!】
ジッポが水に触れた瞬間に、火はプール中に広がる。
「おおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
この喜びを誰かに伝えたがっている。
けど誰もいないっていう諸刃の剣w
新野の体が炎でオレンジ色に照らされる。
その場に倒れた。
「・・・・・・・寝ょ」
寝るらしい。
「・・・・・」
しかし、外の雨の音が耳に付く。
雨は容赦無く外壁を叩く。
「んあぁ!!寝れん!!」
少し、プールの火が弱まってきていた。
その時だった・・・
【ーーーピシィッッ!!】
室内の大きく厚いガラスに亀裂が入る。
「!!」
【ピシィ!!ビキキッッ!!】
他の窓のガラスにも次々と亀裂が入る。
「ま、まさか・・・」
『ガソリンのガスが充満して爆発しかけてんのか!?』
【ヒュゴォ】
新野が息を吸おうとした時だった。
口から喉の奥まで一気にガスが入り込んた。
「ゲホッッゲホッ!!ゴホッッゲホォッ!!!!」
たちまち新野は呼吸困難になった。
『そうか!!外の雨と湿気が混ざりあって更にガスとの同化でヤベェ気体に変わったのか!?・・・普通に燃やしてるだけじゃこんな事ぁ無ぇ!!』
新野は扉に手を掛ける。
『ダ・・・ダメだ!!今開けたら・・・酸素が室内に入って爆発する・・・』
その間も刻々子と肺にガスが侵入する。
「ち・・く・・・・しょ・・・・ぉ・・・」
扉の問取っ手を持つ手が緩む。
『だ・・・・誰か・・・・・』
シャリ男はその場に倒れた。

学校昇降口前  横海   10時37分
【ザーーーーーーーーーーーーーッッ】
止まらぬ雨が横海の身体を叩く。
横海には・・・・・まだ意識があった。
『・・・・動けそうか?』
『少しなら・・・』
『・・・・なんでこうなったんだ?』
『宅達を襲ったから・・・』
『・・・・血は?』
『止まんね・・・』
横海は、地面に両手を立て、震えながら立ち上がろうとした。
「・・・く・・・くっ・・・・」
四つん這いにまで立てた。
【・・・・ドッ】
腹を蹴られた。
【ドサァッ】
横海は仰向けになってしまった。
そこに傘を差した人が立っていた。
『こらぁ・・・・女だな・・・』
傘で顔は見えないものの、全身を見る限り、女の体系だった。
手には、ボーガンを持っていた。
横海は蹴られた衝撃でもう動く事も出来ない。
数秒して、そいつは口を開いた。
「何1人で虫みたいに蠢いてんだょw」
ボーガンを構えた。
「・・・・!」

【バスッバスッバスッバスッバスッバスッ・・・・】

・・・・何発討ったんだろぅか・・・
ただでも虫の息の横海に一体何発打ち込んだろぅ・・・?

「・・・・」
そいつは、横海がバッグがない事に気付き、何も取らずに歩き出した。
強い雨が・・・横海を叩く、あざ笑うかの様に・・・


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本部  立花   11時50分
【ピンポン、ピンポン】
スピーカーから音が鳴る。
『みなさん、只今11時50分です、のこり10分で島が少し沈みます。デッドゾーンには残り2人。走れば出れますよ、ガンバです』

森  秋長   11時53分
「ハーーーッ、ハーーーッ、ハーーーッ」
秋長は森の出口に向かって走る。
右手の機械は・・・光っていた。
走った、走った。

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「・・・・!!」
しばらく走ると出口のフェンス(高さ2m程)が見えて来た。
「やった・・・」
小声で呟いた。
近付いて登ろうとした・・・しかし。
【シャン・・・】
フェンスの揺れる音と共に秋長の目に飛び込んで来たのは・・・
男だった。
男がフェンスの上に立っていた。
手には大きな銃。
「残念、秋長」
【カシャコ】
大きな銃のリロード音がした。
「・・・あぁ・・・・・」
【パスッ】
大きな銃が小さな音で吠える。
「くぁっ!!」
秋長は銃弾をジャンプして避けた。
そしてすぐに手に持っていたバットをそいつに投げた。
【ガッ!!】
バットはそいつの脇腹に直撃する。
そいつは後方に落ちる。
しかし、滞空してる間にそいつは1発撃った。
【チュンッ】
銃弾はくしくも秋長の右足にあたった。
「ガァーーーーーーー!!」
「殺しは・・・しなぃ。・・・でもその足じゃデッドゾーンは抜けられないだろぅ・・・」
「・・・くっ・・そぉ・・・」
そいつはそう言って後方に走り出す。

右手の機械を見ながら走る。
怖かった、あと何分かで間に合うかとか・・・
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【チカッ】
右手の機械が光るのを止めた。
「おっ・・・」
そいつはしばらく経って、止まる。
「ふぅー・・・・残念だったね、秋長」
それから20秒程たった時だろぅか。
遠くのスピーカーから音が聞こえた。
『時間です、デッドゾーンには1人、残念です』
【カチッ】
本部の時計が12時を差した。
【ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!】
耳を覆いたくなる爆音が島中に響いた。
島の回り、500mが跡形も無く消える。
一瞬の出来事だった。

「・・・・・ぅ、ぅそだろ。な、なんだょ今の・・・」
そいつが・・・今まで走って来た道が無くなった。水が一面に広がった。
「・・・こ、怖ぇ・・・」
気付かなかった、いつ間にか雨も止んでいた。

本部  立花   12時03分
『みなさん、これから定期的に島が少しずつ沈みます、次はこれから12時間後の午前0時です、今沈んだ所から更に1キロ沈みます、では右手の機械を参考に。』
放送が終わる。
「さぁーて、そろそろかな・・・・」





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